会長ご挨拶
堂徳 将人(北海商科大学教授)
今日の激変する社会では、科学技術の一層の進展が期待される一方で、少子高齢など成熟化に伴う負の側面への懸念が高まっている。こうした時代を生きる若者には、社会認識はもとより社会形成の資質・能力を育むことがこれまでにも増して重要になっている。広域性と多様性を有する北海道は、厳しい挑戦の時代の先進地でもあり、持続可能な地域社会の形成に参画する有為な人を育むことへの要請がこれまでにも増して高まっている。もとより「公民」は教育基本法が掲げる「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家・社会の形成者」を育むとの目的と通底して、崇高な目標を掲げ、新時代を生きるに必要な社会参画への意欲や態度の形成を目指してきたと言えよう。
くしくも、本年度(2022年度)は明治以来続いた成人年齢20歳が民法改正により18歳に引き下げられ、先行して施行された公選法改正による18歳選挙権に加えて、高校生が大人になる節目に当たる。高校では「現代社会」が半世紀の歴史を閉じて「公共」が必修科目として位置づけられるとともに、社会科再編(1989年)によって「公民科」が創設されて33年目に当たることに鑑み、「公民教育」の本質に立ち返ってその歩みを振り返るとともに、新科目「公共」と選択「政経」「倫理」からなる新教育課程の目標・編成・実施・評価を熟考することが必要ではないか。言い換えれば「社会に開かれた教育課程」を理念とする新教育課程移行期のカリキュラムマネジメントの構築に向けて、理論と実践を往還する教育研究が重要である。
北海道に根ざし、日本や世界を視野に入れ、学術的かつ学際的な視座から公民教育研究に取り組み、理論と実践を往還しながら会員相互が研鑽し合い、日々の授業改善に寄与する新たな教育研究のプラットフォームを創るため、本学会を設立する。公民教育に関わる多くの皆さんの賛同を得て、本会が発足することに心よりお礼を申し上げます。